川崎市でリノベーションする場合~知っておきたいポイント~

神奈川県川崎市では「リノベーションまちづくり」というプロジェクトを推進しているのを皆さんご存知でしょうか?

今日本では、人口減少等の要因で以前は賑わいのあった昔ながらの商店街の市街地等が衰退し、全体的にまちの活力が低下しているのだそうです。こういった地域の再生には空家・空き店舗物件を活用し、「新たな使い方」ができる起業者を呼び込むことが重要なのだそうですが、直接的にはなかなかうまくいかない事が多いようです。しかし、近年では新たな空き物件の使い方を効果的に行う「リノベーションまちづくり」が注目されていて、全国の多くの地域で取組が始まっているのだそうです。

川崎市でも「リノベーションまちづくり」の取り組みを進めるために検討会を立ち上げ、平成28~29年度にわたって数回の検討会を開催。さまざまなテーマを毎回設定し、テーマごとに委員をお呼びして、意見交換などを行っているのだそうです。例えば川崎駅日進町周辺エリアでは現在積極的にリノベーションまちづくりを進めており、そこから始まったエリアリノベーションを川崎駅周辺エリアまで伝播させ、更には川崎市全域へと波及させていくといった構想の実現化を図る、との事で徐々に具体的に動き出しているようです。

このように川崎市では市全体でリノベーションが推奨され、注目されている、と言っても良いかもしれません。

■リノベーションまちづくりとは

川崎市も含めた全国各地で、地域が主体となって進められている「リノベーションまちづくり」とは具体的にはどの様な取り組みなのでしょうか。

「リノベーションまちづくり」は「建物を改修すること」にとらわれない、というのが特徴です。建物だけではなく、その空間を利用する「人」やその空間の「使い方」も含めたリノベーションで、地域の様々な人を巻き込みながら、そのエリアに新しいまちのコンテンツを生み出すのだそうです。

ただ単に老朽化した建物を取り壊して新しい建物を作るのではなく、既存のものに新たな価値を生み出し、エリアごと変えていくまちづくりの手法で、このように視点を変えることで、今まで価値がないと思っていたものを「価値のあるもの」「可能性のあるもの」と捉え、それを地域全体でうまく利用し、手を加えていくことでスピーディーに新たな事業が展開できるのだそうです。これは、自治体の都市・地域の今ある資産を活用して経営の課題を解決していくことでもあり、ここでいう「今ある資産」というのは遊休不動産などの空間の資源だけにとどまらず、歴史的資源や人的資源といった意味も含まれており、それらの資源を余すことなく活用することで、なるべく低リスク、低コスト、スピーディー、に事業を生み出し育てていくことを意味しているのだそうです。この様な事例はまちづくりだけにとどまらず、現在言われている国際的目標でもあるSDGsを達成するための持続可能な取り組みとしても通じるものがあるように思います。

川崎市も現在取り組んでいる「リノベーションまちづくり」とは、地域の空き物件、人材、歴史を総合的に「地域の資源」と見立て、その活用により地域の再生を図っていく新たな手法のようです。

■リノベーションとは

単純によく耳にする「リフォーム」と「リノベーション」とはどのような違いがあるのでしょうか?

「リノベーション」は、英語で表すと「Renovation」で、「修復、刷新」といった意味があります。リフォームとよく比較されますが、リフォームは「使い方を変えずに元の形を修復・復元すること」リノベーションとは「元とは違う使い方、性能や価値を向上させ、新たな機能や付加価値を加えること」といった概念です。要は今あるものを活かしながら、必要に応じて時代に適した在り方に変え、新しい機能を付与するのが「リノベーション」になります。

例えば、歴史的な建造物の外観はそのままに、建物内部を現代の生活に合う様式に機能的に大きく変えるといった事は、リノベーションに当たります。また、一般的な例としては「古民家の台所を現代風のシステムキッチンに」「団地やマンションの古い間取りを大幅に変えてリビングダイニングキッチンに」「和風の外観を洋風に」といった内容が挙げられます。

現代のライフスタイルに合わせて内外装や間取りを刷新することで、現代的な住まいが手に入り、既にある空間が再生して快適な暮らしを実現することができるのです。

■リノベーションのメリット

では「リノベーション」にはどういったメリットがあるのでしょうか?項目別にまとめました。

1.ライフスタイルに合わせて自由に設計が可能

何といってもリノベーションの最大のメリットはライフスタイルなどの暮らしに合わせて自分好みに設計した住居空間を作れることではないでしょうか。家族が増える事を想定してどこでも目が行き届く様な間取りに変更したり、ご自身の趣味を楽しむ空間を作ったり、家事導線が確保された収納たっぷりのリビングダイニングキッチンに設計したり、バリエーションは無限大です。ご自身の好きなデザインを表現した内装にするのも楽しみの一つかもしれません。

2.中古物件は選択肢が豊富

、新築物件と比較すると中古住宅や中古マンションを改修するリノベーションは新築よりも選べるエリアと物件数が多い事も魅力の内に挙げられます。 昨今で人気のエリアなどでは住宅が既に立っていたり、もしも立地の良い物件があったとしても、環境や設備にどうしても不満が残る…という場合も多いのではないでしょうか。中古物件や築年数の古い物件でも、リノベーションをする事で住みよい作りに変えていけば、新築と同様、若しくはそれ以上の環境にお住まいいただけます。

3.建物の資産価値が高まる

新築住宅に比べて価格が安く、購入後も価格の下落率が穏やかなのが中古住宅の特徴でもあります。リノベーションに要する費用をかけたとしても、新築に比べてリーズナブルに環境の良い住まいを取得できるだけでなく、資産価値としての目減りが少ない事も特徴です。リノベーションをすることで室内の使用や設備の状態などが改善されていると、築年数が古い場合でも物件の資産価値が高まり次世代へ優良な物件を引き継ぐことができます。リノベーションプランを考えるとき、築20年以上の中古物件など、資産価値が落ちにくい物件を所有することも建物の価値を向上させる上での一つのポイントです。

4.新築を立てるよりコスト面でお得

先でも触れましたが、中古物件をリノベーションする場合では、新築よりも費用面でかなりの低コストで済むことが多く、(一般的には新築の購入より20%~30%安いとされているそうです)コスト面ではリノベーションのメリットが大きいのだそうです。新築物件は新築というだけで高めに価格設定がされていることも珍しくないとの事。生活スタイルの変化と重なることの多い住まい選びは、できるだけ予算内で済ませたいものです。自分好みのきれいで暮らしやすい物件に住みたい方に、リノベーションはピッタリかもしれません。

5.リノベーションは環境にも優しい

リノベーションは中古住宅を活用するので環境への負担が少ないことも大きな特徴になります。リノベーション工事は建替工事に比べ、CO2排出量や廃棄物の発生も数十分の一で済み、地球資源の節約に直結するのだそうです。リノベーション住宅は、未来・次世代を見すえた選択肢なのかもしれません。

■リノベーションのデメリット

では「リノベーション」のデメリットとは?

1.住むまでに時間がかかる

物件選びから設計、住居の調査とその後の実際の改修工事と、実際にそこに暮らし始めるまでに時間がかかってしまうのという点では、リノベーションのデメリットの一つと言えるかもしれません。普段忙しい方やなかなか時間が取りにくい方、住環境をすぐにでも変えたいといった方は、再度プランを考えなおしてもいいのかもしれません。

2.築年数が古い物件では耐久性の面でで難がある場合も

建築基準法の改正以前と以降とでは住宅の耐震基準が異なります。1981年に耐震基準の見直しがありましたが、築年数が古い物件では、資材や設備の劣化などから単純に耐久性が落ちてしまっている物件もあります。中古マンションや中古住宅を対象とするため、リノベーションでは物件の耐久性が低いといったリスクが発生してしまいます。中古物件の工事では、築年数により耐震工事が必要になることが多いようで、耐震工事が加算されると全体の費用が上がったり、引き渡しまでの期間が長くなってしまう事もあります。ですのでリノベーションを検討している方が物件をお探しの際には耐震について専門業者の方と一緒に物件選びをすると安心です。

3.ローンを組む場合金利が高くなりやすい

リノベーションに関しては一般的な住宅ローンは利用できないので、金利が高めのリフォームローンを組む場合もあります。一般的に、住宅ローンよりもリフォームローンは高い傾向があるので、ローンをご検討の方は、事前に料金に関するお問い合わせをしておくのがよいかもしれません。自治体によっては補助制度やリフォーム減税が使える場合があるので、お住まいの地域のホームページなどをご確認下さい。

■一般的なリノベーション費用の相場

リノベーションは小規模ものから大規模な改修まで、様々なものがあります。ですので工事費用も改修の内容によって大きく変わるのですが、リノベーションの費用に関する事項を大きく分けると、購入費・工事費・引越し、などの3つに分けることができます。リノベーションにかかる費用は、工事をする広さや場所によってかなり幅がありますが、例えば、部分的な工事だけなら費用は100万円から300万円台に収まる場合もありますが、間取りを大きく変える等大規模な工事になってくると500万円台になる場合もあり、物件のある階数や内装のデザインのこだわりによっても、費用が大きく変わってきます。具体的な費用を知るためには、リノベーション内容を詳細に決定した上でまずは業者に見積りを出してもらうのが一番です。水回りのキッチンやトイレなどを最新のものに変える工事、フローリングの床素材を変更する工事など、小規模なものであっても種類はとても多岐にわたってきます。

改修するイメージや場所をしっかり持ったうえで、業者とよく話しい、工事方法や使用する素材などを決定することがとても大切です。工事の前段階である設計や準備を綿密に相談し、予算をすり合わせておくことで、見積りの価格と実際の費用との大きな差がなくなります。

■まとめ

川崎市でも市内全体で取り組んでいるリノベーション的なまちづくり。リノベーションはそこに住まう人の立場に立った魅力ある住環境を手に入れることが出来そうです。

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