川崎市の住環境~データが語る住宅事情

川崎市まちづくり局が発表した『川崎市の住宅事情』(以下、レポート)の世帯類型、居住面積、住環境などについての項目を見ると、川崎市の住居の特徴や傾向が浮かび上がってきます。

今回はこのレポートを元に、川崎市の住環境を考えていきましょう。

 

目次

川崎市の住環境~データが語る住宅事情
川崎市の住宅の特徴
(1)単身世帯の特徴
(2)ファミリー世帯の特徴
(3)高齢者世帯の特徴
改善が進みゆく居住面積水準
高齢者も暮らしやすい住環境
住宅の性能面における動向
まとめ

 

 

川崎市の住宅の特徴

川崎市では、世帯主の年齢が上がれば上がるほど、また1世帯あたりの人数が多ければ多いほど持ち家率が高くなる傾向が見られます。

 

(1)単身世帯の特徴

単身世帯では、年齢層が低い世帯では借家率が高く、年齢層が高い世帯では持ち家である比率が高くなる傾向です。例えば2013年の状況は以下の通りです。

・30歳未満…借家率(非木造)78.5%
・30歳代……持ち家率7.4%、借家率(非木造)74.5%
・40歳代……持ち家率23.6%、借家率(非木造)60.2%
・50歳代……持ち家率32.3%、借家率(非木造)47.0%
・60~64歳…持ち家率39.9%、借家率(非木造)35.0%
・65歳以上…持ち家率51.6%、借家率(非木造)19.5%

また2003年と2013年の住宅所有の実態を比べると、持ち家率は19.1%から25.8%へ6.7ポイント増加し、借家率(非木造)も44.7%から52.8%へ8.1ポイント増加しています。そんな中で借家率(木造)は26.6%から14.4%へ12.2ポイント減少しています。借家のケースでは賃貸マンションが増加する一方、賃貸アパートや戸建て住宅が減少の一途を辿っている状況が窺えます。

 

(2)ファミリー世帯の特徴

川崎市の2013年の世帯類型別持ち家率を見ると、ファミリー世帯では世帯人数が多ければ多いほど持ち家率が高くなります。

・世帯人数2人………56.8%
・世帯人数3人………64.7%
・世帯人数4人………75.0%
・世帯人数5人以上…79.0%

また2003年と2013年でファミリー世帯の持ち家の比率を比べると、59.4%から64.4%へと5.0ポイント上昇しています。一方、借家では木造が10.1%から6.2%へと3.9ポイント低くなり、木造を除く住宅では19.2%から22.3%へと3.1ポイント上がっています。

 

なお、2013年時点での世帯人数別1世帯あたりの居住室畳数は、以下のようになっています。

・世帯人数2人……持ち家ː33.5畳(1人あたり16.8畳)、借家ː19.9畳(1人あたり10.0畳)
・世帯人数3人……持ち家ː34.8畳(1人あたり11.6畳)、借家ː22.4畳(1人あたり7.5畳)
・世帯人数4人……持ち家ː36.7畳(1人あたり9.2畳)、借家ː25.2畳(1人あたり6.3畳)
・世帯人数5人……持ち家ː38.9畳(1人あたり7.8畳)、借家ː26.5畳(1人あたり5.3畳)

持家も借家も世帯人数が増えるに連れて1人あたりの畳数が減っており、ファミリー世帯では住宅規模と世帯規模のアンバランスが見られます。

 

(3)高齢者世帯の特徴

続いては、65歳以上の家族がいる高齢者世帯の住宅に着目してみましょう。2013年時点での住宅の分類は、持ち家が70.0%、公営住宅が7.2%、UR・公社が1.8%、民営借家(木造)が8.2%、民営借家(非木造)が12.5%となっています。

そして世帯類型別の持ち家率を見ると、単身世帯が52.8%、夫婦世帯が77.2%、同居世帯が80.4%となっています。高齢者世帯もファミリー世帯同様、世帯の人数が多ければ多いほど持ち家率が高くなる傾向です。

 

 

改善が進みゆく居住面積水準

2013年時点での川崎市の住宅特性を、所有関係別に居住面積水準に着目する形で見ていきましょう。

・持ち家の世帯…最低居住面積水準未満1.4%、誘導居住面積水準以上63.6%
・公営住宅の世帯…最低居住面積水準未満8.8%、誘導居住面積水準以上44.4%
・UR・公社の世帯…最低居住面積水準未満4.4%、誘導居住面積水準以上42.9%
・民営借家(木造)の世帯…最低居住面積水準未満36.6%、誘導居住面積水準以上14.1%
・民営借家(非木造)の世帯…最低居住面積水準未満25.5%、誘導居住面積水準以上18.8%

住宅所有関係の全体平均で2008年と比較すると、最低居住面積水準未満である世帯の数は15.5%から13.6%へ1.9ポイント減少する一方、誘導居住面積水準以上である世帯の数は37.7%から41.9%へ4.2ポイント上昇しています。

データを見る限り、川崎市の居住面積水準は全体的に改善が進みつつあるようです。

 

高齢者も暮らしやすい住環境

川崎市の2013年の住環境を見ると、まず住宅所有の関係別の長屋建て住宅と戸建て住宅の敷地面積は、長屋建てでは100平米未満が84.4%で最も多く、戸建てでは100~199平米が42.5%で最も多くなっています。

具体的に見ると、以下のようになっています。長屋建ての場合は持ち家も借家も敷地面積の狭さという点で共通しているようです。

・戸建て(持ち家)……100平米未満ː39.4%、100~199平米ː43.8%
・戸建て(借家)………100平米未満ː71.6%、100~199平米ː21.6%
・長屋建て(持ち家)…100平米未満ː71.4%、100~199平米ː28.6%
・長屋建て(借家)……100平米未満ː92.6%、100~199平米ː7.4%

 

次に川崎市平均で最寄りの公共交通機関までの距離を見ると、鉄道駅まで500m未満である住宅が26.8%、同500~999mである住宅が32.7%、バス停まで200m未満である住宅が15.9%、同200m以上が12.4%となっています。

行政区別に鉄道駅までの距離を見てみましょう。

・川崎区……500m未満ː34.5%、500~999mː39.0%
・幸区………500m未満ː15.7%、500~999mː31.6%
・中原区……500m未満ː33.1%、500~999mː47.6%
・高津区……500m未満ː24.2%、500~999mː26.9%
・宮前区……500m未満ː16.3%、500~999mː20.5%
・多摩区……500m未満ː34.8%、500~999mː33.9%
・麻生区……500m未満ː22.1%、500~999mː23.1%

これを1000m未満の範囲で見ると、中原区が約8割、川崎区が約7割、多摩区が約7割、高津区が約5割。後の3区は3~4割になっています。

このデータからは、川崎市7区中の4区は大雑把に捉えて自宅から徒歩15分圏内に鉄道駅があるようです。これにバス路線を加えると、川崎市は公共交通網が発達しており、やはり交通アクセスの良い都市と言えそうです。

 

最後に2013年時点の高齢者世帯向け生活関連施設の整備状況を見ると、このようになっています。

・医療機関までが500m未満…………………78.5%
・公民館や集会所までが500m未満…………83.7%
・緊急避難場所までが500m未満……………64.9%
・郵便局や銀行までが500m未満……………57.6%
・デイサービスセンターまでが1000m未満…96.9%

生活圏に関連施設が存在する地域の多さを考えると、川崎市は概ね高齢者も暮らしやすい住環境であると言えそうです。

 

 

住宅の性能面における動向

川崎市の2013年の住宅性能に関する主な動向として、次が挙げられます。

 

(1)持ち家の高齢者向け住宅設備の1位は手すり

持ち家の高齢者向け住宅設備は手すりː53.8%、一定のバリアフリー化ː46.2%、段差のない屋内ː37.5%、跨ぎやすい高さの浴槽ː35.3%などが上位を占めています。

 

(2)進む耐震化

川崎市の住宅は全体的に耐震化が進んでおり、耐震化基準を満たした住宅は全体の9割に達しています。

 

(3)5年以内の住宅リフォーム計画の1位は水回りの改善

5年以内に計画している住宅リフォームの内容は台所・トイレ・浴室・洗面所の改修ː43.7%、屋根・外壁の改修ː19.6%、天井・壁等内装の改修ː18.3%などが上位を占めています。

 

 

まとめ

川崎市の住みやすさは、不動産・住宅関係のネット記事で良く取り上げられています。川崎市まちづくり局発表のレポート『川崎市の住宅事情』は住宅関連の公的統計の分析に基づき、住宅面からそれを裏付けた点で貴重な資料と言えます。

加えて言うなら、データの段階では特定個人・団体の意向や主観が反映されていない分だけ客観性が高くリアルな資料と言えます。川崎市在住の読者や川崎市への住居移転を考えている読者にとっては一読の価値があると思われます。

 

 

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