編集・
川崎市で中古住宅を買ってフルリノベーションを考える時、物件を決めてから改修の相談を始めると、思っていた工事ができなかったり、資金の段取りが合わなかったりすることがあります。物件探しと改修の計画は、同じ時期に並べて進めると判断しやすくなります。この記事では、中古の戸建てを買って全面改修する場合を中心に、購入前に確かめたいことと、入居までの順番を整理します。
物件探しと改修の計画は、同じ時期に始める
まずは、改修で変えたいことを家族で書き出してみましょう。間取り、水まわり、収納のほか、耐震や断熱をどこまで見直したいかも、工事の範囲に大きく関わります。優先したいことの順番があると、物件を見る時の目安になります。
予算は、物件の価格と改修の工事費を合わせた総額で考えます。登記やローンの諸費用、家具や家電、引っ越しの費用なども見込んでおきましょう。同じ価格の物件でも建物の状態によって必要な工事は変わるため、気になる物件が見つかったら、売買契約の前に改修の見通しを相談できる相手がいると安心です。家全体の改修の考え方は、住まいのフルリフォームのページでも紹介しています。
購入前に、建物について確かめておきたいこと
建てられた時期と耐震
1981年5月以前に建てられた建物は、旧耐震基準によるものです。国土交通省は、新耐震基準による木造住宅でも、接合部などの決まりが明確になった2000年(平成12年)以前の物を中心に、リフォームなどの機会に接合部などの状況を確かめることを勧めています。
川崎市には、平成12年5月31日以前に工事に着手した、木造2階建て以下の在来工法の住宅を対象に、耐震診断士を無料で派遣する制度があります。申請できるのは、住宅の所有者か、所有者から委任を受けた人です。購入前の物件で使う場合は、所有者である売主から委任を受けることになります。
以前に市の制度で耐震診断や耐震改修を受けた住宅は、対象になりません。予定件数に達するとその年度の受付は終わり、その後の申込みは翌年度の4月以降の派遣になるため、最新の状況は市の公式ページで確かめてください。
建物状況調査(インスペクション)
2018年4月に施行された宅地建物取引業法の改正で、中古住宅の売買を仲介する不動産会社は、媒介契約(仲介を頼む契約)の時に、建物状況調査を行う人のあっせん(紹介)について書面に記すことになりました。重要事項説明では、一定の期間内に行われた建物状況調査の有無と、ある場合はその結果の概要、設計図書や点検記録などの書類の保存の状況が説明されます。売買契約が成立した時には、建物の状況について売主と買主の双方が確かめた事項を書いた書面も交付されます。基礎・土台・構造の傷みの確かめ方は、中古住宅を全面リフォームする前に、基礎・土台の傷みを調べる方法で整理しています。
建築確認・検査の記録と図面
建てた時に建築確認や完了検査を受けているかは、改修の手続きを考える時の手がかりになります。川崎市では、確認済証と完了検査済証の番号や交付年月日などを証明する建築確認等台帳記載事項証明書を、まちづくり局指導部建築管理課で交付しています。昭和46年以降の確認申請で提出された建築計画概要書も閲覧できますが、載っているのは敷地の配置図や案内図で、建物の図面はありません。設計図が残っているかどうかは、売主や仲介会社に早めに確かめておきましょう。
浸水や土砂災害の想定
2020年8月28日から、不動産取引の重要事項説明に、水防法に基づく水害ハザードマップでの物件の所在地が加わりました。川崎市の防災ポータルサイトでも、洪水や土砂災害などのハザードマップを確かめられます。
大規模な改修では、建築確認が必要になることがある
2025年4月に施行された改正建築基準法により、2階建ての木造戸建てなどで行う大規模なリフォームのうち、2025年4月以降に工事に着手するものは建築確認の手続きの対象になりました。大規模なリフォームとは、壁、柱、床、はり、屋根、階段といった主要構造部の1種類以上について、過半(半分を超える部分)を改修する工事などを指します。キッチン、トイレ、浴室などの水まわりだけのリフォームは、手続きは要らないとされていますが、工事の内容によっては大規模なリフォームに当たる場合があります。手続きが要らない場合でも、改修した後の建物は建築基準法に合っている必要があります。
全面改修では、間取りの変更や床・壁のやり替えがこの範囲に入ることも考えられます。確認申請から確認済証が交付されるまでには審査の期間がかかるため、入居の時期にも関わります。手続きの考え方は、スケルトンリフォームや増築で建築確認が必要な場合にまとめています。
資金と税の要件は、購入と改修を一緒に考える
中古住宅の購入と改修を同時に進める時の借り方の一つに、住宅金融支援機構のフラット35リノベ(リフォーム一体タイプ)があります。中古住宅の購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを行うと、借入金利が一定期間引き下げられる制度で、購入資金と、購入と併せて行うリフォーム工事の資金が対象です。予算金額に達する見込みになると受付が終わるため、申込みの前に公式サイトで受付の状況を確かめてください。
資金を受け取れるのは、リフォーム工事が終わり、適合証明検査(工事の後に技術基準に合っているかを確かめる検査)を受けた後です。中古住宅の代金決済の時につなぎ融資(ローンの資金を受け取るまでの間の借入れ)が必要な場合は、取扱金融機関に相談するよう案内されています。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)にも、中古住宅ならではの要件があります。国税庁の案内(令和8年4月1日現在法令等)では、昭和57年1月1日以後に建築された住宅か、取得の日前2年以内に耐震基準に適合すると証明された住宅であることなどが求められます。基準を満たさない住宅でも、取得の日までに耐震改修の申請をし、住み始める日までに耐震改修で基準に適合すると証明された場合は、対象になることがあります。
中古住宅の取得の日から6か月以内に住み始めることも、要件の一つです。購入の後に改修工事をする場合は、工事の期間と入居の時期を合わせて確かめておきましょう。
川崎市の木造住宅耐震改修助成制度は、令和8年4月から、旧耐震の木造住宅に加えて、平成12年5月以前に建てられた新耐震の木造住宅も対象になりました。木造2階建て以下で、木造在来工法であることなどの条件があります。交付決定通知(助成すると市が決めた知らせ)を受け取る前に結んだ工事契約は助成の対象にならず、診断士と施工者は申請者が市の登録名簿から選ぶことになっています。助成を考える場合は、契約の順番に気をつけてください。
借り方の比べ方は、フルリフォームの資金計画の記事で紹介しています。ローンや税、助成の条件は年度や予算で変わるため、最新の内容は各制度の公式ページで確かめてください。
購入から入居までの順番
全体の流れは、おおむね次のようになります。物件や使う制度によって、順番が前後することもあります。
- 変えたいことと、購入費と工事費を合わせた予算を整理する
- 物件を探しながら、改修を相談する先を決める
- 候補の物件で、建物の状態、確認・検査の記録、災害の想定を確かめる
- 改修の概算見積もりと資金計画を確かめてから、売買契約とローンの申込みに進む
- フラット35リノベを使う場合の事前確認の書類の提出(つなぎ融資を使う場合はその実行まで)や、住宅ローン控除のための耐震改修の申請(取得の日まで)など、期限が決まっている手続きを済ませる
- 引き渡しの後、詳しい調査と設計、見積もり、建築確認や市の助成の申請を行う
- 工事と
完了の 確認を 経て、 入居する
床や壁をはがして初めて分かる傷みもあるため、工事の内容と予算には、見つかった時の対応も含めて余裕を持たせておくと安心です。中古マンションの場合は、管理規約で工事できる範囲や手続きが定められているため、戸建てとは別に規約の確認が欠かせません。
購入を迷っている段階でも、改修でどこまでできそうかを早めに知っておくと、物件を選ぶ判断がしやすくなります。当社は、川崎市幸区・中原区・川崎区、横浜市鶴見区・港北区、東京都大田区で、住まいのフルリフォームやスケルトンリフォームのご相談を承っています。すべてが決まっていなくても構いませんので、図面や物件の資料があれば、ご相談の時にお知らせください。
