戸建てのスケルトンリフォームで、耐震と断熱はどこまで見直せるか

編集・掲載:株式会社スマイルプラス

戸建てを骨組みだけの状態にして改修するスケルトンリフォームは、壁の中や床下を見ながら、耐震と断熱をまとめて見直せる機会です。ただ、どこまで強く、暖かくできるかは、建てられた年や今の傷み具合によって変わります。計画の前に知っておきたい考え方と手続きを整理します。

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内装や床をはがすと、柱や土台、筋かい、柱と梁をつなぐ金物の様子を直接見ることができます。湿気や水漏れによる腐れなど、外からは見えなかった傷みが、解体してはじめて見つかることもあります。見えた状態をもとに、補強する所と残して使う所を決められるのが、骨組みまで戻す改修の良い点です。

耐震と断熱は、どちらも壁・床・天井の中で行う工事です。仕上げを戻す前に、補強と断熱材の入れ方を一つの計画にまとめておくと、あとから壁を開け直す手間を減らせます。土台や基礎の傷みの確かめ方は、中古住宅を全面リフォームする前に、基礎・土台の傷みを調べる方法でも紹介しています。

耐震は、建てられた年と耐震診断から考える

柱や梁で骨組みをつくる在来工法(在来軸組構法)の木造住宅では、耐震の決まりに大きな節目が2つあります。1981年6月に、必要な壁の量を強めた新耐震基準が始まりました。2000年には、筋かいの端や、柱の上下のつなぎ目など、接合部の仕様が明確にされています。

国土交通省の発表では、2016年の熊本地震で、新耐震基準の在来工法の木造住宅のうち、2000年以前に建てられたものにも倒壊などの被害が見られました。そのため、1981年6月から2000年5月までに建てられた在来工法の木造住宅でも、リフォームなどの機会に接合部などの状態を確かめることが勧められています。

今の家の強さは、耐震診断で数字として確かめます。診断の評点は、1.0以上1.5未満が「一応倒壊しない」、1.5以上が「倒壊しない」とされ、1.0未満では耐震改修が勧められます。

骨組みの状態では、壁や接合部に手を入れやすくなります。基礎は、今ある物の状態を確かめたうえで補強の方法を検討します。どこまで高められるかは、診断と現地の確認をもとに目標の評点を決めて計画します。

補強の中心は、壁・接合部・屋根・基礎

木造住宅の耐震改修では、主に次のような工事を組み合わせます。どれをどこまで行うかは、診断で分かった弱い所によって変わります。

  • 壁:筋かいを入れたり、合板を張ったりして壁を増やします。壁の量だけでなく、配置の釣り合いも耐震性能に大きく関わるため、偏りなく配置します。
  • 接合部:土台・柱・筋かいなどのつなぎ目を、金物を使って補強します。
  • 屋根:重い屋根を軽い屋根材にふき替えて、建物を軽くします。
  • 基礎:玉石や鉄筋の入っていないコンクリートの基礎を、鉄筋コンクリートの布基礎に変えたり、今の基礎を増し打ちしたりする方法があります。

窓を大きくした開放的な間取りを望む場合は、壁の量や配置との兼ね合いを、設計の段階で確かめておきます。壁を減らす所があれば、ほかの場所で補う計画が必要になることがあります。

制震や免震はどう考えるか

耐震は、建物自体の強さを上げて揺れに耐える考え方です。制震は建物の内部にダンパーなどの装置を組み込んで揺れを吸収し、免震は建物と基礎の間に装置を組み込んで揺れを伝わりにくくします。戸建ての全面改修では、まず耐震の補強で目標の評点に届くかを確かめ、そのうえで制震の装置を加えるかを設計者と相談するとよいでしょう。

断熱は、壁・床・天井と窓を切れ目なく

骨組みの状態では、外に面した壁、1階の床下、天井や屋根の裏に、断熱材を切れ目なく入れやすくなります。部分的な改修では手の届きにくい所まで、まとめて施工できます。

あわせて見直したいのが窓です。国土交通省は省エネ住宅の案内で、熱の出入りが大きい窓には樹脂製サッシやLow-E複層ガラスなどを取り入れる方法を紹介しています。

断熱を高めて室温が安定すると、結露やカビも抑えやすくなります。一方で、壁や天井の中で起きる結露は、湿気を防ぐ層が途切れて、室内の湿気が入り込みやすくなっていることが原因になります。湿気を防ぐ層を切れ目なく施工できるかも、設計で確かめておきたい点です。

断熱と合わせて考えたいのが換気です。2003年7月からは、居室のある建物に機械換気設備の設置が原則義務付けられています。それより前に建てられた家や、改修ですき間が減る家では、必要な換気の量を確保できるかも確かめます。

2025年4月からの建築確認と、省エネ基準の扱い

以前は、木造2階建ての戸建ての大規模なリフォームに、建築確認は要りませんでした。2025年4月からは、木造2階建てと延べ面積200㎡を超える木造平屋で大規模なリフォームをする場合、工事の前に建築確認の手続きが必要です。延べ面積200㎡以下の木造平屋は、これまでどおり不要です。

ここでいう大規模なリフォームは、壁・柱・床・はり・屋根・階段のうち一種以上について、過半を改修することなどを指します。階段の架け替えや屋根の全面的な改修などは該当し、屋根や壁の仕上げ材だけの改修は該当しません。工事の内容によって変わるため、手続きが必要かどうかは、計画の段階で建築主事または指定確認検査機関に確かめてください。

手続きの中で、今の法令に合っていない所を合わせる工事が別に必要になる場合もあります。大規模なリフォームを行う建物の延べ面積が100㎡を超える場合は、建築士による設計・工事監理も必要です(都道府県が別に面積などを定めている場合があります)。詳しくはスケルトンリフォームや増築で建築確認が必要な場合をご覧ください。

一方、2025年4月から義務付けられた省エネ基準への適合は、新築と増改築が対象で、修繕・模様替にあたる改修は、大規模なものも含めて対象外です。増改築では、増改築する部分が基準に合っている必要があります。改修でどこまで断熱を高めるかは、暮らし方や予算と合わせて計画の中で決めることになります。最新の取り扱いは、国土交通省の公式ページで確かめてください。

補助制度は、工事の契約より前に確かめる

耐震の補強には、自治体の補助制度が使える場合があります。川崎市・横浜市・大田区では、2026年10月時点の各公式ページに次のような制度が載っています。

  • 川崎市:耐震診断士を無料で派遣する制度と、木造住宅耐震改修助成制度があります。令和8年4月から、昭和56年5月以前の木造住宅に加え、平成12年5月以前に建てられた新耐震基準の木造住宅も対象になりました。交付決定通知を受け取る前の工事契約は、助成の対象になりません。
  • 横浜市:平成12年5月末日以前に建築確認を得て着工した、2階建て以下の在来軸組構法の木造個人住宅で、診断の点数が1.0未満のものが対象です。耐震改修と同時に行い、ZEHレベル(等級5)以上となる省エネ改修には加算があります。
  • 大田区:耐震診断、耐震改修設計、耐震改修工事などの段階ごとに助成があります。各段階で契約前に申請し、区の決定を受けてから契約に進みます。

どの制度にも、構造や工法、住む人などの条件があり、予定の件数や年度の締切で受付が終わることもあります。最新の条件は各自治体の公式ページで確かめてください。断熱の補助や減税の調べ方は、フルリフォームの補助金と減税にまとめています。

耐震と断熱をどこまで高めるかは、診断の結果と、間取りや予算の希望を並べて考えることになります。建築確認や補助制度は工事の範囲や契約の時期に関わるため、計画を固める前に確かめておくと進めやすくなります。家全体の改修の考え方は住まいのフルリフォームとスケルトンリフォームでもご案内しています。すべてが決まっていなくても、迷っている段階で早めにご相談いただいて構いません。

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