マンションのフルリフォームでできること・できないこと 管理規約と床・水回り

編集・掲載:株式会社スマイルプラス

マンションのフルリフォームでは、住戸の中を大きくつくり変えられる一方で、自分の判断だけでは手を加えられない所があります。どこまで変えられるかは、建物のつくりと、そのマンションの管理規約・使用細則で決まります。計画を立てる前に境目と決まりを知っておくと、間取りや設備の希望を整理しやすくなります。

目次

まず、専有部分と共用部分の境目を知る

区分所有法では、区分所有権の対象になる建物の部分を専有部分と呼び、それ以外の建物の部分や、専有部分に属さない附属物などを共用部分と呼びます。国土交通省のマンション標準管理規約は、各マンションが規約をつくる時の参考として国が示しているひな形です。このひな形では、天井・床・壁は、建物の骨組みにあたるコンクリートの部分(躯体)を除いた内側が専有部分です。玄関扉は錠と内側の塗装だけが専有部分で、窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれません。

同じひな形では、外壁や隣の住戸との境の壁(界壁)、床のコンクリート(床スラブ)、柱、配管を通すパイプスペース、バルコニーなどが共用部分です。配管も、給水管は本管から各住戸のメーターを含む部分まで、排水管は継手と立て管が共用部分とされています。躯体を残して住戸の内部をつくり直すスケルトンリフォームでも、手を加えられるのは原則として専有部分の範囲です。

標準管理規約で承認が必要とされるのは、主に、建物全体やほかの住戸に長く悪い影響を及ぼすおそれのある工事です。ただし、実際の線引きや決まりはマンションごとに定められるため、お住まいのマンションの規約で確かめる必要があります。

間取りは変えられても、取り除けない壁がある

専有部分の中の間仕切り壁は、部屋をつなげる、分けるといった間取りの変更のために、取り除いたり動かしたりすることを検討できます。ただし、ひな形に付いている国の解説(標準管理規約のコメント)では、間取りの変更やユニットバスの設置も、理事長の承認が必要な工事の例に挙げられています。

同じ解説では、区分所有者(住戸の持ち主)は、壁・柱・床・はりなど建物の構造上重要な部分(主要構造部)に影響を及ぼす行為をできないとされています。そのため、住戸の中に建物を支える壁(耐力壁)がある場合は、その壁を取り除くことはできません。全面的なリフォームでは、壁や床をはがした後に耐力壁を撤去しないかを、管理組合が確かめることも想定されています。

コンクリートに穴を開けたり金物を打ち込んだりする工事は、ひな形では理事会の承認が必要な工事とされています。築年数が浅く、必要な配管の穴(スリーブ)があらかじめ設けられているマンションでは、穴を増やすことを禁止する定めの例が示されています。一方、築年数が経ち設備を新しくしたい要望が多いマンションでは、鉄筋の位置を確かめるなどの条件を付けて、穴を増やす例もあります。

床は、遮音の決まりに合う材料と工法を選ぶ

床のフローリングも、同じ解説で承認が必要な工事の例に挙げられています。床材は下の階へ伝わる音に関わるため、ひな形では、張り替える時に新築時と同じかそれ以上の遮音性能があるかを確かめることが、承認の条件とされています。

ひな形の注記では、物件の状況によって、床について定めておくことも考えられる例が示されています。ひとつは、新築時からフローリングのマンションで、遮音等級が新築時と同じかそれ以上か、施工方法が床材のカタログどおりかを確かめる例です。また、新築時にカーペット敷きだった古いマンションで床のコンクリートが薄く、遮音の問題が起こりうると管理組合が決めた場合に、フローリングにする条件として遮音等級を示す例もあります。

床の音の伝わり方は、建物の構造や工事の仕様、材料によって変わるため、専門家の確認が必要とされています。お住まいのマンションの決まりを確かめたうえで、材料と工法を一緒に選びます。

水まわりの移動は、排水の通り道と傾きを確かめる

キッチンや浴室、トイレの位置を動かす計画では、排水をどこへ流すかが大きな確認点です。住戸の排水管は、共用部分である排水の立て管へつながっています。立て管は住戸の判断では動かせないため、そこまで水が流れる傾き(排水勾配)を床下で取れるかどうかで、動かせる範囲が変わることがあります。

ひな形では、給排水管を改修する工事は、水漏れや騒音でほかの住戸に影響するおそれがあるため、理事会の承認が必要な工事です。承認の条件としては、排水勾配が確保されていること、配管に防音対策が講じられていること、高圧洗浄ができる掃除口があることなどを確かめます。立て管との接続の位置を変える場合は、立て管への加工についても確かめます。

窓・玄関扉の扱いと電気やガスの容量は、建物全体の決まりに従う

窓枠や窓ガラス、玄関扉は共用部分のため、性能を変える交換や改良は、住戸の判断だけでは行えません。標準管理規約では、防犯・防音・断熱などの性能を高める窓や玄関扉の改良は、管理組合が計画修繕として行うのが原則です。管理組合がすぐに行えない場合は、理事長の承認を受けて、区分所有者の負担で工事できる定めになっています。複層ガラスへの交換や内窓の取り付けも、この工事の例に挙げられています。

電気・ガス・水道は、建物の共用の設備によって使える量に限りがあります。ひな形の考え方では、今ある共用の設備の状況から必要な場合に限り、電気の契約量を一定以上に増やす工事や、一定以上の能力の給湯器を付ける工事を承認の対象にすることが示されています。エアコンを主要構造部に直接取り付ける工事や、バルコニーの決められた場所以外に室外機を固定する工事も、承認が必要な例です。電気を多く使う設備を増やす計画では、使える量を、早めに管理組合や管理会社に確かめておきましょう。

管理規約と使用細則を確かめ、工事の申請に備える

計画の早い段階で、管理規約と使用細則をそろえます。工事の決まりは、リフォーム細則などの名前で別に定められていることもあります。図面が手元にない時は、理事長が保管する設計図書を、理由を書いた書面で求めれば区分所有者が閲覧できる定めが、ひな形にあります。確かめておきたいのは、次のような点です。

  • 専有部分と共用部分の範囲
  • 承認が必要な工事と、届出でよい工事
  • 床の遮音の基準
  • 工事できる曜日や時間、資材の運び方
  • 申請の締め切りと、理事会が開かれる時期

標準管理規約では、承認が必要な工事は、設計図・仕様書・工程表を添えた申請書を理事長に出し、理事会の決議で承認か不承認かが決まります。承認が要らない工事でも、業者の出入りや資材の搬入、騒音などを管理組合が前もって把握する必要があるものは、事前に届け出ます。近い将来に建替えなどが検討される可能性があるマンションでは、承認を求めた区分所有者にそのことを知らせるのが望ましいとされています。

解説では、上下左右の住戸に大きな影響を与えるおそれがある工事について、その住戸の区分所有者の同意を求めることも考えられるとされています。承認を受けずに工事をした場合は、理事長が是正を求めたり、差し止めや元に戻すための措置をとったりできる定めです。荷物や搬入、近隣への案内などの準備は、マンションのフルリフォーム前に、準備しておきたいことで整理しています。

これから中古マンションを不動産会社の仲介で買って全面改修する場合は、売買契約が成立するまでに受ける重要事項の説明で、専有部分の利用の制限に関する規約の定めがあれば、その内容が説明されます。気になる点は、契約の前に仲介の担当者を通じて確かめておきましょう。購入から工事までの進め方は、中古マンションを購入してリノベーションする流れと注意点でまとめています。

なお、標準管理規約は、区分所有法の改正などに合わせて2025年10月17日に改正され、改正区分所有法は2026年4月1日から施行されています。お住まいのマンションの規約が最新のひな形と同じとは限らないため、規約の内容と変更の予定は管理組合や管理会社に確かめてください。

どこまで変えられるかは、図面と規約だけでは判断しにくく、現地で建物の状態を見て分かることもあります。規約の確認と間取りの希望を一緒に整理したい時は、計画が固まる前の段階でご相談いただいて構いません。当社の民間工事は、川崎市幸区・中原区・川崎区、横浜市鶴見区・港北区、東京都大田区で承っています。改修の考え方は住まいのフルリフォームで、対応する工事とお見積りの考え方は工事のご相談でご案内しています。

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