戸建て住宅のリフォームに失敗しないコツ

戸建て住宅は分譲マンションに比べ、リフォームの自由度が高いのが特徴です。とは言え一戸建ての場合も、建築基準法や工法により「リフォームができる、できない」ケースがあります。ここでは一戸建て住宅のリフォームに失敗しないポイントを解説します。

目次

戸建て住宅のリフォームに失敗しないコツ
戸建て住宅リフォームで、できることとできないこと
木造住宅の場合
<木造軸組工法住宅のリフォーム>
<2×4工法住宅のリフォーム>
プレハブ住宅の場合
<プレハブ住宅のリフォーム>
鉄筋コンクリート造住宅の場合
戸建て住宅で可能なその他のリフォーム
戸建て住宅のリフォーム工事会社選びのポイント
(1)事業歴が長く、リフォーム工事の実績が豊富
(2)施主のリフォーム予算に応じたリフォーム提案をしてくれる
(3)見積書の内容が詳細かつ具体的
(4)業界団体加盟の有無
(5)アフターフォローの有無
まとめ

戸建て住宅リフォームで、できることとできないこと

一戸建て住宅は木造住宅、プレハブ住宅、鉄筋コンクリート造住宅などの種類があり、基本的に次の工法で建築されています。そして一戸建て住宅の場合は、この工法の違いによりリフォームの制約条件が異なってきます。

木造住宅の場合

木造住宅は…

  • 木造軸組工法(在来工法)……構造体が柱・梁の「軸組構造」の住宅
  • 2×4(ツーバイフォー)工法……構造体が床・壁の「面組構造」の住宅

のいずれかで建築されており、工法ごとにリフォームできる、できないが異なります。

<木造軸組工法住宅のリフォーム>

間取りの変更

建物の内部にある壁の撤去ができるので、間取り変更は比較的容易です。ただし建物の内部に設けられている「体力壁」(地震や台風で受ける水平圧力に耐える構造体的な壁)は撤去できないので、この場所の間取り変更はできません。

階段の移動

間取り変更に伴った階段の移動は可能です。ただし梁の位置により階段を移動できる場所は限られます。

バリアフリー化

廊下の幅を広げる、廊下と居室の段差をなくす、廊下や階段に手すりを取り付ける、和風トイレを洋風トイレに取り替える、浴室と浴槽の段差をなくす、などのバリアフリー化は基本的に可能です。

窓枠の移動・新設

外壁の窓枠の移動や新設は可能です。ただし外壁が体力壁の場合は、外壁の補強をしなければ窓枠の移動・新設はできません。

水回り設備の場所変更

給排水管の位置を変更すればキッチン、浴室、トイレなどの場所変更は可能です。

<2×4工法住宅のリフォーム>

間取りの変更

2×4工法住宅でも間取り変更は可能です。ただし建物内部の壁を撤去して2部屋を1部屋にする居室拡張の場合は、2×4工法ルールに則ると共に、補強工事が必要な場合があります。

玄関ドア・窓枠の変更

玄関ドア、窓枠など外壁の開口部は「構造体」なので、変更はできません。

水回り設備の場所変更、バリアフリー化

2×4工法住宅でも基本的に可能です。

プレハブ住宅の場合

プレハブ住宅は大手ハウスメーカーが規格化した柱、梁、壁、天井、建具、ドア、窓枠など住宅の主要部材を工場で生産し、建築現場で組み立てた住宅のことで、以下のような特徴があります。

  • 品質が均一……規格化した部材を統一的な品質管理の下で生産しているので、品質が均一で高精度の住宅を建築できる
  • 個人差のない高品質施工……工法が標準化され、部材の組み立てがマニュアル化されているので、建築現場での組立て作業が容易。職人の技能・経験差による作業ムラを極小化でき、高品質な施工が可能。
  • 工期の大幅な短縮……在来工法で行われている現場での部材加工の大半を工場で行っているので、工期を大幅に短縮できる

プレハブ住宅は工法により、次の4種類に分かれています。

木質系プレハブ住宅:木材壁を主要構造体にした住宅です。木製の枠組みの両面または片面に合板を貼り付けた壁を耐力壁にしています。

  • 鉄鋼系プレハブ住宅……鉄骨を主要構造体にした住宅です。柱・梁・筋交いの構造体に軽量鉄骨を用いる軸組工法、外壁の木材壁を耐力壁にするパネル工法、柱・梁・筋交いに重量鉄骨を用いるラーメン工法などがあります。
  • コンクリート系プレハブ住宅……工場で生産した鉄筋コンクリート造の床、壁、屋根などの主要部材を建築現場で組み立てる「プレキャストコンクリート工法」の住宅です。
  • ユニット系プレハブ住宅……工場で生産した「ユニット」(鉄骨の枠組みと木材壁で構成した部材)を建築現場で組み立てた住宅です。ユニットには外壁・窓枠・建具だけでなく、建物内部の間仕切壁・内部建具も工場で生産できるので、住宅建築効率を飛躍的に高めた工法と言われています。

<プレハブ住宅のリフォーム>

間取り・窓枠の変更は基本的に不可能

プレハブ住宅はいずれの工法でも外壁と間取りは規格化されているので、間取り・窓枠の変更は基本的に不可能です。

壁・天井・床等内装のリフォーム

内装のリフォームは容易にできます。

キッチン・浴室・トイレのリフォーム

キッチン、浴室、トイレなど水回り設備の交換や場所移動は基本的に可能です。

断熱リフォーム

外壁と内装材の間に断熱材を充填し、住宅の断熱性を高めるリフォームは容易に可能です。

鉄筋コンクリート造住宅の場合

鉄筋コンクリート造住宅は、次の2つの構造に分かれています。

  • ラーメン構造……鉄筋コンクリートの柱と梁により建物を支える構造です。耐力壁や筋交いを入れなくても耐震性を確保できるのが特徴です。
  • 壁式構造……鉄筋コンクリートの壁により建物を支える構造です。建物内部の壁も構造体なので、リフォームで撤去することはできません。撤去できるのは内装建材で造った間仕切り壁だけです。
  • ドア・窓枠の移動・新設……ラーメン構造の場合は柱と梁により建物を支えているので、外壁部のドア・窓枠の移動・新設が可能です。
  • 壁式構造の場合は壁により建物を支えているので、外壁部や建物内部耐力壁に取り付けられているドアの移動・新設は不可能です。

戸建て住宅で可能なその他のリフォーム

平屋建て木造住宅を2階建てにするリフォーム

基本的には可能です。ただし柱、梁、壁などの構造体を補強する必要があります。
なお2階建てを3階建てにするリフォームは基礎構造の制約上、基本的に不可能です。

増築リフォーム

いずれの工法で建てた住宅も増築は可能です。ただし、それは「建蔽(けんぺい)率」の範囲内に限られます。建蔽率とは、建築基準法に基づき各市区町村が都市計画で定めている敷地面積に対する建築面積(1階部分の住宅面積)の割合のことです。

建蔽率は「建築面積÷敷地面積」で算出されます。例えば敷地面積が200平米、建築面積が100平米の場合、建蔽率は50%になります。そして仮に建蔽率が70%の地域で敷地面積200平米、建築面積100平米の住宅を増築する場合、建築面積は140平米まで認められているので、40平米(140平米-100平米)まで増築が可能になります。

戸建て住宅のリフォーム工事会社選びのポイント

安心して自宅のリフォーム工事を依頼できる会社に共通した特徴として、一般に次が挙げられます。

(1)事業歴が長く、リフォーム工事の実績が豊富

一戸建て住宅のリフォーム工事には、高度な施工技術と豊富な経験が必要です。これを見極めるポイントが一戸建て住宅リフォームの施工実績といえます。

(2)施主のリフォーム予算に応じたリフォーム提案をしてくれる

住宅リフォーム工事は、施主の要望通りに進めれば予算オーバーになるのが通例と言われています。そこでリフォーム予算に応じたリフォーム提案をしてくれるリフォーム工事会社は、高度な設計力と施工力を有している証と言えるでしょう。

(3)見積書の内容が詳細かつ具体的

見積書の内容が「工事一式」ではなく、工事費の詳細を一般用語で分かりやすく具体的に記載しているリフォーム工事会社は、明朗会計を貫いている証といえるでしょう。

(4)業界団体加盟の有無

住宅リフォーム工事に関わる業界団体は、国に登録した団体から任意の団体まであります。このうち国の「住宅リフォーム事業者団体」加盟の住宅リフォーム工事会社ならまずは安心と言えるでしょう。2021年9月末現在、「日本住宅リフォーム産業協会」、「住宅リフォーム推進サポート協議会」など16団体が国の「住宅リフォーム事業者団体登録制度」登録団体となっています。

(5)アフターフォローの有無

住宅リフォームは工事完了後も不具合が発生するケースがあります。これに備えリフォーム完了後も定期点検や、無料修理を行ってくれる会社は安心といえます。

まとめ

一戸建て住宅のリフォームの失敗要因の大半がリフォーム工事会社選びの誤りと言われています。上記のポイントを参考にリフォーム工事会社を選べば、リフォーム失敗のリスクを極小化できるでしょう。

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