ライフステージリフォームで知っておきたいポイント

住宅リフォームには、築年数の経過で傷んだ内装や外壁・屋根を修復する「若返りリフォーム」、キッチン・浴室等の使い勝手を良くする「生活改善リフォーム」などがあります。

そんな中で近年注目されているのが、ライフステージの変化に合わせて長期計画的なリフォームを行う「ライフステージリフォーム」です。ここではそのポイントを解説します。

目次

ライフステージリフォームで知っておきたいポイント
ライフステージリフォームとは
子育て世代のリフォームのポイント
(1)子供が視界に入るリフォーム
(2)家事の時短・効率化ができる動線へのリフォーム
(3)掃除の時短・効率化ができる動線へのリフォーム
(4)子供専用スペースの設置
(5)子供の成長に合わせてアレンジできる間取り
子供が独立した世代のリフォームのポイント
(1)間取りの変更
(2)家の補強
断熱化
耐震化
(3)バリアフリー化
セカンドライフ世代のリフォームのポイント
(1)補修や家事が楽な住宅にリフォームする
(2)バリアフリー化は必須リフォーム
まとめ

ライフステージリフォームとは

従来のリフォームは一般に築年数の経過で傷んだ場所を修復する、使い勝手の悪い住宅設備や間取りを改善するなどを目的に、対症療法的に行われてきました。

そして人は世代の変化と共にライフスタイルや家族構成が変わってきます。この時、既存の住まいに合わせてライフスタイルを変えるのではなく、ライフスタイルの変化に合わせて住まいをリフォームすると、生活の利便性と住まいのクオリティが上がりやすくなります。

この考えに基づき、世代の変化に合わせ、長期的な視点で適切なリフォームを計画的に施すのが「ライフステージリフォーム」と言われています。

ライフステージリフォームは、以下が主な対象です。

  • 子育て世代:30~40代
  • 子供が独立した世代:50~60代
  • 現役世代引退世代:65~70歳以降

子育て世代のリフォームのポイント

子育て世代の住宅は、子供の成長を見守る空間確保と家事の時短・効率化が重要になります。そこでリフォームのポイントとして、次が挙げられます。

(1)子供が視界に入るリフォーム

乳幼児がいる場合、子供の動きが常に目に入る間取りが重要になります。子供の相手や世話としつつ料理・洗濯・掃除の家事をする必要があるからです。

家事で子供から目を離した隙に子供が危険な目に遭わないよう、例えばキッチンはリビングを一望できるオープンキッチンが適しています。調理をしながら子供の動きを見守る、子供の話し相手になってコミュニケーションを取るなどをしやすいでしょう。

(2)家事の時短・効率化ができる動線へのリフォーム

特に共働きで子育てをする場合、優先すべきは家事の時短と効率化といえるでしょう。そのためには無駄のない家事動線であることが大切です。

例えば洗濯物を干すためには、マンションの場合はベランダ、戸建て住宅の場合は2階バルコニーとの往復が必要になり、時間がかかります。しかし洗濯機置き場の隣に洗濯物干しのスペースや乾燥機付きの浴室がある間取りだと、その時間を短縮できます。

家事の時短と効率化は、家事の動線上に仕切り壁やドアを設けないのがポイントになります。

(3)掃除の時短・効率化ができる動線へのリフォーム

子育て世代は日々の掃除の時短・効率化も欠かせません。特に浴室、洗面所、トイレなどの水回りは、家族が頻繁に使用する住宅設備なので、こまめな掃除が必要になります。

これらの設備が一直線の動線上に配置されていれば掃除動線が短くなり、掃除の負担も軽減されます。カビや汚れのつきにくい浴室、自動洗浄機能付きトイレなど、こまめな掃除の手間を省ける設備にリフォームすると良いでしょう。

(4)子供専用スペースの設置

子供が幼児期の間は、リビングの一角に子供専用のスペースを設け、落書きやおもちゃ遊びが自由にできるようにしておけば、子供が物を散らかしても後片付け楽になります。

子供専用のスペースがあれば、子供もストレスなく過ごせるでしょう。

(5)子供の成長に合わせてアレンジできる間取り

子供に個室が必要な時期は、夫婦のライフステージ全体から見ればほんのわずかの期間です。「個室」を作るのではなく、子供の成長や兄弟の増加に合わせて子供部屋をフレキシブルに変更できる可動間仕切りのリフォームが適しているでしょう。

子供が独立した世代のリフォームのポイント

子どもが独立して我が家を巣立つと、再び夫婦2人の生活に戻ります。そうなると2人世帯で快適に暮らせるよう間取りの変更、築年数を経て老朽化した家の補強、セカンドライフに備えたバリアフリー化などのリフォームが必要になります。これらのリフォームにより我が家が一新し、新鮮な気持ちで第二の夫婦生活を開始できるでしょう。

そこで子供が独立した後のリフォームのポイントとして、次が挙げられます。

(1)間取りの変更

子供部屋をどのように有効活用するかのリフォームがポイントになります。

これには…

  • 子供部屋の間仕切りを取り払い、広々と使える多目的の居室を設ける
  • 子供部屋を夫婦それぞれの趣味の部屋にリフォームする
  • 子供部屋を客間にリフォームし、普段は来客の応接間として使用し、子供が帰省した時は寝泊りの部屋として使う

などが考えられます。

(2)家の補強

日本の居住用住宅の法定耐用年数は木造住宅が33年、鉄筋コンクリート造住宅が70年などとなっています。

もちろんこれで不動産価値がなくなって取り壊しの対象になる訳ではなく、メンテナンスを定期的に行えば、木造住宅でも「100年は不便なく住める」と言われています。また寺社・学校・博物館等の公共的建物においては、築年数300年以上の木造建築が日本では珍しくありません。

子供が独立した後で特に検討したいのが家の断熱化と耐震化の補強です。

断熱化

築年数が古い木造住宅の悩みの1つが、断熱性の低さです。夏はエアコンを最低温度でフル運転しないと冷房が利かず、冬はエアコンを最高温度でフル運転しないと暖房が利かずでは快適な家とは言えず、電気代も嵩むばかりです。

壁・床・天井・窓を断熱化すれば、夏は涼しく、冬は暖かい家に一新できます。居住の快適さが段違いに向上し、電気代も減らせます。窓の場合はプラスチックダンボールシートや断熱フィルムを断熱材に用いれば、安価に窓の断熱化ができます。

耐震化

2016年現在で築年数35年を超えている木造住宅、すなわち1981年以前の「旧耐震基準」で建てた住宅は耐震性が脆弱です。旧耐震基準は大規模地震を想定した設計ではないからです。

近年の自然災害の凶暴化傾向を考えると、安全な自宅にするために耐震補強を施し、強靭な住宅にリフォームしたいところといえます。

(3)バリアフリー化

子供が独立したら、近い将来に迎えるセカンドライフに備え、住宅のバリアフリー化も検討したいところです。戸建て住宅の場合は玄関、廊下、床、階段とバリアフリー化する個所は多岐にわたります。

これをセカンドライフ世代になってから一気に施す、家計的な負担が重いでしょう。したがって必要な個所から計画的に逐次実施すれば負担が軽くなり、将来的なリスクヘッジにもなるでしょう。

セカンドライフ世代のリフォームのポイント

定年退職等で現役を引退し、セカンドライフ世代になると、高齢と相まってそれ以前のライフステージでは感じなかった不自由が生じてきます。人によっては介護や車椅子が必要になる場合もあるでしょう。

そこで、セカンドライフ世代のリフォームのポイントとして、次が挙げられます。

(1)補修や家事が楽な住宅にリフォームする

快適な住宅を保持するためには定期的な補修が必要です。例えば外壁・屋根の塗装は10年毎に塗り替える必要があります。しかし高齢になると10年毎の補修は身体的にも家計的にも負担が重くなります。

この負担を和らげるため、例えば外壁を乾式タイルやガルバリウム鋼板に張り替えると、30年前後はメンテナンスフリーにできるので、補修が楽になります。

また…

  • キッチンの隣に浴室や洗濯機置き場を設置し、炊事・洗濯の移動距離を短くする
  • 2階建ての戸建て住宅の場合は寝室・リビング・浴室・トイレ等の日常的な居住空間は階段の上り下りをしなくて済む1階に集約する
  • 寝室の隣にトイレを設置し、寝室・トイレ間の距離を短くする

などのリフォームを施せば家事が楽になり、屋内転倒事故等も防げます。

(2)バリアフリー化は必須リフォーム

セカンドライフ世代にとって、住宅のバリアフリー化は必須リフォームといえるでしょう。

高齢になると足腰だけでなく、握力や視力も低下するからです。

健康で安全に暮らすためのバリアフリー化のポイントとして…

  • 屋内の段差をなくす
  • 廊下・階段・浴室・トイレ等に手すりを取り付ける
  • 車椅子でも動けるよう廊下の幅を広げ、浴室・トイレのスペースも広げる
  • 廊下にセンサー感知で自動点灯・消灯する足元灯を取付け、夜間に屋内移動する時の足元を明るくする
  • ヒートショック対策をする
  • 屋内の扉を引き戸にする

などが挙げられます。

まとめ

ライフステージが変われば、自宅の快適さのありようも自ずと変わってきます。ライフステージリフォームにより自宅の快適さを保持すれば、自宅の長持ちにも繋がるでしょう。

さらに長年住み慣れて愛着のある住宅の建替えやコミュニティが異なる場所への住み替えの必要に迫られる事態もなくなるでしょう。

Follow me!