認可保育園の改修・内装工事の前に確かめること 基準・手続き・工事の流れ

保育園の開設や、今の園舎・テナントの改修工事・改装では、内装工事であっても、保育の基準や建物の法律、市の手続きで決まることが多くあります。横浜市の手引きは新しい認可保育所の開園日を原則4月1日としていて、工事の段取りは開園日から逆算して考える必要があります。国の基準と、川崎市・横浜市が公開している案内をもとに、工事を始める前に確かめたいことを整理します。

目次

設備と面積は、国の基準と市の条例で決まる

保育所の設備は、国の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に定められています。2歳未満の子どもを預かる保育所には乳児室またはほふく室、医務室、調理室、便所が、2歳以上の子どもを預かる保育所には保育室または遊戯室、屋外遊戯場、調理室、便所が必要です。屋外遊戯場は、保育所の近くにある代わりの場所でもよいとされ、川崎市は、敷地の中に設けられない場合に、条件を満たす近くの公園などで代えることを認めています。

国の基準の面積は、子ども1人につき、乳児室が1.65㎡以上、ほふく室が3.3㎡以上、保育室・遊戯室が1.98㎡以上、屋外遊戯場が3.3㎡以上です。実際に守る基準は、国の基準をもとに、川崎市・横浜市がそれぞれの条例で定めています。両市の案内では、2歳未満の子どもの部屋は1人につき3.3㎡以上とされ、面積は収納や手洗い器などを除いた広さで数えます。

調理室は衛生に配慮した造りが求められます。川崎市は基本設計の段階で区役所衛生課へ、横浜市は設計の段階で区福祉保健センター生活衛生課へ相談するよう案内しています。

2階以上やテナントで開くときは、避難と建物の条件を確かめる

国の基準では、保育室などを2階に設ける場合、耐火建築物か準耐火建築物(一部を除く)であること、決められた種類の階段や避難の設備があること、子どもの転落を防ぐ設備があることが求められます。3階以上では耐火建築物に限られ、さらに、避難の設備まで歩く距離(30m以下)、調理室の防火区画、壁と天井の仕上げ、非常警報や火災の通報の設備、カーテンなどの防炎処理の決まりも加わります。

横浜市の手引きは、特別な理由がなければ保育室などを1階に設けるよう求め、すべての保育室などに2つ以上の出入口と、経路が重ならない二方向の避難を求めています。川崎市の募集要項も、1階に設けることが望ましいとし、1階でも二方向の避難の考え方を踏まえるよう求めています。

テナントの物件では、建物の書類と契約も早めに確かめます。両市とも、確認済証と検査済証の交付を受けた建物か、ない場合は別の方法で法に合っていると確かめられることを条件にしています。1981年6月の新耐震基準より前の建物では、耐震性を示す書類が求められます。川崎市の募集要項は、貸主の合意を得て合意書や覚書を結んでおくことを応募の条件とし、定期借家契約は整備の補助金の対象外としています。

用途を変えるときの建築確認と、消防署への届出

事務所や店舗だった部屋を保育所にするときは、建築基準法の用途変更の手続きを確かめます。保育所は、建築基準法で特殊建築物として扱われる児童福祉施設等にあたります。保育所として使う部分の床面積が200㎡を超える場合は、用途変更の確認申請をして確認済証の交付を受け、工事が終わったら完了の届出をします。保育所の保育室は、建築基準法で採光のための窓などが求められる居室にあたるため、窓の少ない部屋を使う計画では早めに確かめます。

200㎡以下で確認申請が要らない場合も、建物を法令に合わせる必要があり、川崎市は運営法人の責任で適合させるよう求めています。横浜市の手引きは、保育所には点字ブロックの設置や階段・廊下の幅などで、一般の建物より厳しい条件があると説明しています。

消防法施行令の区分では、保育所は(6)項ハの防火対象物にあたります。消防用設備等を設置したときは、建物の規模などによって消防署へ届け出て検査を受けます。川崎市では、建物を使い始める日の7日前までに、消防署の予防課へ防火対象物使用開始届を出します。消防法では、保育所のカーテンなどは、保育室の階にかかわらず決められた防炎性能のものにする決まりで、横浜市の手引きも同じ案内をしています。

開園日から逆算する、手続きと工期の考え方

横浜市の手引きでは、保育所の設置には市長の認可・確認が必要とされています。流れは、整備を考える場所の保育ニーズの確認、整備相談と事業の申し込み、市の審査・採択から始まります。補助金を使う場合はそのあと設計内容の確認、補助金の交付決定、工事完了検査と進み、設置認可・確認を経て4月1日に開所します。

補助金を使う工事では、施工業者の選び方にも市の決まりがあります。横浜市の手引きは、施工業者を入札で選び、市の設計審査や入札参加資格審査の日数を考えて余裕をもって準備するよう求めています。同じ手引きは、入札に参加する予定の業者やその関係者と事前に接触しないことも求めています。川崎市の募集の補助金の案内も、補助を受ける工事の請負業者を原則として競争入札で選ぶよう求めています。

川崎市は既存の保育施設の活用を最優先としながら、必要な場所で新規整備を行うとしています。2026年9月に公表された募集要項では、対象を、賃貸物件を改修して定員60人以上の認可保育所を運営する法人としています。地域は多摩区の2か所、開所日は2028年4月1日で、事前相談の受付は2026年10月30日まで、応募書類の締切は11月13日とされています。募集の地域や時期は年度ごとに変わるため、次の募集は市の保育所整備のページで確かめてください。

横浜市は、保育所整備の手引き(2026年4月版)を載せたページに、現在は新規整備の募集予定がないと記しています。既存の保育・教育の資源を活かした受け入れ枠の確保を進めるとしながら、募集期間の外でも整備の相談は随時受け付けるとしています。相談の窓口は、横浜市はこども青少年局保育・教育部こども施設整備課、川崎市はこども未来局保育・幼児教育部保育対策課です。

工事のあとも、使い始める前の室内の化学物質の濃度測定(横浜市は飲料水の水質検査も)、消防の届出、備品の準備が続きます。川崎市の募集要項は、開所前の3月31日までに運営に必要な物品をそろえるよう求めています。工事の終わりを開園日の直前に置かず、検査や届出、準備の期間も含めて計画を立てます。

今の園舎の改修と、認可外保育施設の場合

運営中の認可保育所で部屋の面積や使い方を変える場合は、市への手続きも確かめます。横浜市は、各部屋の面積や使用区分、屋外遊戯場の面積などの施設規模を変えるときに、決められた期限までに申請または届出をするよう求めています。古くなった設備の改修費の一部を補助する横浜市の中規模改修事業は、2026年度分の受付が2025年12月に終わっています。

認可外保育施設を開く場合、川崎市は認可外保育施設指導監督基準に合うことと、消防法や食品衛生法などを守ることを求めています。児童福祉法は一部の施設を除き、事業を始めた日から1か月以内の届出を定めていて、川崎市は設置後速やかに届け出るよう案内しています。

工事の相談の前にそろえておきたいこと

工事の範囲を考えるときは、次のような情報が手がかりになります。手元にあるものから整理しておくと、相談のときに話を進めやすくなります。

  • 所在地、今の用途と予定する用途、建物の図面
  • 確認済証・検査済証など、建物の法令上の書類
  • 新装か改修か、考えている範囲、設計や運営の関係者
  • 開設の希望時期と、市への相談の状況
  • ご予算のお考え

当社は、認可保育園の新装や全面改修をお引き受けしています。詳しくは認可保育園のフルリフォームでご案内しています。保育施設の内装工事の施工事例では、手洗いまわりや子ども用のトイレ、両側に手すりを設けた階段などを紹介しています。なお、部分的な修理・補修や、設備機器の交換のみの工事は承っていません。

物件や計画にまだ決まっていない点があっても、その状況を含めてご相談いただけます。補助金を使う計画では、施工業者の選び方に市の決まりがあるため、市の担当課に進め方を確かめてからご相談ください。民間工事の対応地域は、川崎市幸区・中原区・川崎区、横浜市鶴見区・港北区、東京都大田区です。基準や募集の最新の内容は市の担当課の案内で確かめていただきながら、工事の進め方を早めに整理したいときは、工事のご相談のページからお知らせください。

目次